学習塾業界の課題

学習塾業界は、少子化、人件費高騰、競争激化など、多くの課題に直面しています。一方で、AI・EdTechの進化、新たな教育ニーズの出現など、成長の機会も存在します。

最大の課題:少子化の進行

日本の出生数は2023年に過去最少の75万8,631人を記録し、少子化は加速しています。学習塾の潜在的な顧客数は減少し続けており、2040年には小中学生の数が現在の約8割に減少すると推計されています。

人件費と光熱費の高騰

東京商工リサーチの調査によると、2024年の「学習塾」倒産件数は53件(前年比17.7%増)となり、2000年以降で過去最多を更新。人件費や光熱費の高騰が経営を圧迫しています。

競争の激化と市場の二極化

大手塾チェーンと中小塾との競争が激しさを増しており、市場の二極化が進行。質の高いサービスや独自の付加価値を提供できる塾と、価格競争に陥る塾との格差が拡大しています。

講師の質の確保と育成

優秀な講師を採用し、育成し、定着させることは容易ではありません。特に学生アルバイト講師は、卒業とともに辞めてしまうため、常に新しい講師を採用し研修する必要があります。

今後の展望

  • ハイブリッド型学習の普及: オンラインと対面の組み合わせ
  • AI・EdTechのさらなる進化: 完全個別最適化学習の実現
  • 新領域への事業展開: リカレント教育、グローバル人材育成
  • M&Aによる業界再編: 後継者不足による大手傘下入り
  • グローバル展開: アジア市場への進出

生き残り戦略

中小塾は差別化と専門化が鍵。特定の科目や分野に特化する、地域の学校情報に精通する、手厚い個別対応を提供するなど、独自の強みを打ち出すことが必要です。