模擬授業大会が映す、塾の先生の本当の実力と見抜き方

模擬授業大会が映す、塾の先生の本当の実力と見抜き方

ニュースの概要

学習塾の野田塾が主催する「全国模擬授業大会」が名古屋で開かれ、14回目を迎えた。全国の塾講師や中学・高校・大学院の教員ら39人が集まり、普段の授業で磨いた技を披露した。審査の軸は二つある。生徒が思わず引き込まれる「楽しい」授業か。そして、きちんと力が身につく「ためになる」授業か。参加者は基礎的な内容から入試レベルの問題まで、どうすれば伝わるかを考え、説明の順番や問いかけの仕方に工夫を重ねた。塾と学校という立場の違う教え手が同じ舞台に立ち、授業そのものの腕前を比べる点が特徴的な催しである。

引用元: 塾講師と学校教員が授業力を競う全国模擬授業大会、名古屋で開催(CBC News)

分析・見解

授業の腕前を公開で競う場が、塾業界では珍しい理由

学習塾の世界では、合格実績や合格者数は大きく宣伝されます。しかし、個々の先生がどんな授業をしているかは、外からほとんど見えません。授業は教室の中で完結し、評価されるのは結果だけになりがちです。

今回の大会は、その見えにくい部分を人前にさらす仕組みです。14回続いていることは、授業の技術を磨く文化が業界に一定の根を張っている証拠といえます。

「楽しい」と「ためになる」は、実は両立しにくい

審査基準が二つに分かれている点が面白いところです。楽しい授業は、雑談や笑いで生徒の気持ちをつかみます。ただ、笑って終わると、翌週の小テストで点が取れません。

逆に、ためになる授業を突き詰めると、解法の暗記に偏り、生徒が受け身になります。両方を同じ50分に収める難しさが、この大会の見どころです。

私の見立てでは、優れた先生ほど「楽しさ」を目的にしません。楽しさは、生徒に考えさせるための入り口として使います。つかみの笑いの直後に、必ず一問解かせる。そうした設計があるかどうかが分かれ目です。

塾講師と学校教員が同じ土俵に立つ意味

塾講師は、限られた時間で成績を上げる訓練を日々積んでいます。一方、学校教員は、学習意欲がばらばらの40人近い集団を相手にする技術を持っています。

得意分野が違うからこそ、互いの工夫が刺激になります。たとえば、塾の先生は教員の「全員を巻き込む問いかけ」から学べます。教員は塾の「説明を一言に絞る技」から学べます。

少子化で生徒の取り合いが続く中、塾が学校と学び合う動きは、地域の教育力全体を底上げする可能性があります。

大会で見えるのは、人を育てる仕組みの差

模擬授業大会に社員を送り出せる塾は、講師の育成に時間とお金をかける覚悟がある塾です。講師の入れ替わりが激しい業界では、育成に投資しても辞められるリスクがあります。それでも続ける塾と、アルバイト任せにする塾の差は、数年後の授業の質にはっきり表れます。

ビジネスへの影響

保護者が体験授業で見るべき三つのポイント

塾選びでは、合格実績より先に、体験授業での先生の動きを見てください。第一に、生徒に質問を投げて、答えを待っているか。第二に、間違えた生徒への返し方が前向きか。第三に、授業の最後に、その日の要点を生徒自身の言葉で言わせているか。

この三つがそろっている先生は、「楽しい」と「ためになる」を両立させる技術を持っています。パンフレットでは分からない差が、50分で見えてきます。

塾の経営者が講師育成で今すぐできること

経営の側にとって、この大会の示唆は明快です。授業の技術は、見せ合う場があって初めて伸びます。まず社内で、月に一度の相互見学を始めてください。うまい先生の授業を録画し、新人が見て真似る。それだけで、授業の質は目に見えて揃います。

さらに、外部の大会や研修に講師を出す仕組みを持つと、採用でも強みになります。「成長できる塾」という評判は、講師の定着と保護者の信頼を同時に高めます。

塾選びの比較軸を「人」に置き直す

オンライン授業やAI教材が広がる今、授業料の安さや便利さだけで塾を選ぶ家庭が増えています。ただ、子どもの意欲に火をつけるのは、最後はやはり目の前の先生です。教材や仕組みは、先生の腕前を支える道具にすぎません。比べる軸を、料金と設備から先生へ移してみてください。

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